こどもの血便
「血便」とは、うんちに血が混ざっていたり、拭いたときに血がついている状態のことを言います。お子さんが小さいと、オムツやトイレで見た保護者の方がびっくりされることも多いですが、原因の多くは命に関わるものではなく、一時的な炎症や小さな傷であることがほとんどです。
ただし、まれに重い病気のサインである場合や、繰り返す・長引く場合は専門的な対応が必要なこともありますので、「いつから?どんなふうに?どれくらいの量?他に症状はあるか?」などを観察していただき、気になる場合は早めにご相談ください。
内田こどもクリニックでは、小児科専門医・感染症専門医の立場から、こどもの血便の背景をていねいに見極め、必要に応じて検査や治療をご提案しています。保護者の不安にも寄り添いながら、安心してご相談いただける診療を心がけています。
こどもの血便の原因
血便の原因は年齢によっても異なります。乳幼児と幼児~学童では、原因となる病気の傾向が少し違ってきます。
乳児・幼児に多い原因
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肛門の小さな切れ(裂肛)
硬い便が出たときや、排便時に強くいきんだことで、肛門の皮膚が切れて出血することがあります。最もよくある原因です。 -
食物アレルギー(牛乳・大豆など)
「食物蛋白誘発胃腸炎」とも言われ、特にミルクアレルギーが原因で、粘血便が出ることがあります。 -
腸重積(ちょうじゅうせき)
腸の一部が他の腸に入り込む病気で、いちごジャムのような血便が出るのが特徴です。緊急対応が必要です。 -
ウイルス性腸炎
腸の粘膜が炎症を起こし、出血することがあります。
幼児~学童に多い原因
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便秘による裂肛
・排便時の痛みを怖がって便を我慢し、便が硬くなり、肛門が切れて出血するという悪循環になります。 -
感染性腸炎(細菌性)
・サルモネラ、大腸菌、カンピロバクターなどの感染で、血が混じった下痢になることがあります。 -
潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患
・まれに、慢性的に血便や腹痛、体重減少などが続く場合は、専門的な検査が必要となることがあります。
血便にともなう他の症状
血便が単独で出ることもありますが、以下のような症状が一緒にある場合には、受診の目安になります。
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発熱(ウイルス・細菌感染の可能性)
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腹痛(腸重積、感染、便秘など)
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下痢や嘔吐(胃腸炎の可能性)
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元気がない、ぐったりしている
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繰り返す血便、数日続く出血
こどもの血便の診察と検査
当院では、問診と視診(おしりの観察やお腹の診察)を基本とし、必要に応じて以下のような検査を行います。
実施することがある検査
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便検査(便の中の白血球や細菌検査)
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血液検査(炎症の程度、アレルギー、貧血の有無)
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腹部エコー(腸重積などの緊急性確認)
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必要に応じて専門病院での内視鏡検査の紹介
小児では、「必要な検査を最小限に、でも見逃さずに」がとても大切です。当院では、お子さんの負担やご家族の不安に配慮した対応を心がけています。
血便の治療法
血便の治療は、原因に応じて異なります。以下は代表的な対応例です。
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裂肛: 排便習慣の改善、便を柔らかくするお薬や軟膏
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感染性腸炎: 整腸剤、水分補給、必要に応じて抗菌薬(細菌の種類に応じて)
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食物アレルギー: 原因食品の除去、アレルギー検査
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腸重積: 救急対応、専門施設への紹介(高圧浣腸や手術)
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慢性炎症性疾患: 専門病院との連携による精査・治療
よくある質問
Q1. 血の色で何か判断できますか?
A1. はい。鮮やかな赤い血は肛門近く(裂肛など)、暗い赤や黒っぽい便は腸の奥からの出血が疑われます。受診時にお伝えいただけると助かります。
Q2. 血便が1回だけでも受診が必要ですか?
A2. 出血の量が多い、繰り返す、他に症状がある場合は受診をおすすめします。1回でも不安な場合は、どうぞご相談ください。
Q3. 血便でも元気なら様子を見てもいいですか?
A3. 多くは様子見でも大丈夫ですが、何度も続いたり、便の様子がいつもと違う場合には一度診察を受けておくと安心です。
院長より
「便に血が混じっていた」と聞くと、保護者の方はとても驚かれることと思います。ですが、小児の血便の多くは心配のいらないもので、適切に対応すればすぐに改善するケースがほとんどです。
一方で、まれに重い病気のサインであることもあるため、「様子を見るべきか、病院に行くべきか迷う」という方は、どうぞご相談ください。
内田こどもクリニックでは、お子さんの発達や体質に合わせて、保護者の方と一緒に考える診療を大切にしています。
