乳糖不耐症
乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)は、牛乳やミルク、ヨーグルトなどの乳製品を摂取した際に、下痢やおなかの張り、腹痛などの症状が出る状態です。赤ちゃんや小さなお子さんにも起こることがあり、「ミルクを飲むとお腹がゴロゴロする」「便が水っぽい」などのサインがあると、保護者の方はとても心配になるかと思います。
これは、乳糖(ラクトース)という糖を分解する酵素「ラクターゼ」の働きが十分でないことが原因です。当院では、お子さんの年齢や症状に応じて、栄養を損なわない形での対応や指導を行っています。
乳糖不耐症の原因
乳糖不耐症は、乳糖を分解する酵素が少なかったり、一時的に腸の働きが弱まることによって起こるものです。大きく3つのタイプに分類されます。
1. 先天性乳糖不耐症
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生まれつきラクターゼが極端に少ない稀なケースです。
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新生児期から重度の下痢がみられます。
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非常にまれですが、注意が必要です。
2. 一次性乳糖不耐症(体質によるもの)
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成長とともにラクターゼが自然に減っていくタイプ。
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日本人に比較的多く見られ、小学校高学年~思春期ごろから顕著に。
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牛乳を飲むとお腹が張る、ゆるくなるなどの症状が出ることがあります。
3. 二次性乳糖不耐症(後天的なもの)
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風邪やウイルス性胃腸炎などで腸の粘膜が傷んだ後、一時的にラクターゼの働きが落ちて起こることがあります。
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幼児期によく見られ、胃腸炎後の長引く下痢の原因として最も多いタイプです。
乳糖不耐症の症状
乳糖不耐症の代表的な症状は以下のようなものです。乳製品を摂取した数時間以内に起こることが多いです。
主な症状
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水様性の下痢(においが酸っぱい)
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腹痛・お腹の張り
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ガスが多くなる
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機嫌が悪くなる、眠れない
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体重の増加が一時的に停滞
乳児の場合は、ミルクを飲んだ後に不機嫌になる、体重が増えにくい、うんちが緑っぽくなる、すっぱいにおいがするなどの変化にも注意が必要です。
診断と治療の流れ
乳糖不耐症の診断は、症状や便の性状、最近の感染症の有無などから推測されます。必要に応じて、便の酸性度検査や還元糖検査などを行うこともあります。
当院では、お子さんの体調や発育状況を見ながら、以下のような対応をしています。
治療の基本
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乳糖の摂取を一時的に控える
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乳糖を含まないミルクや、低乳糖ミルクへの切り替え
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ラクターゼ酵素の補助製剤の使用(場合により)
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離乳食期以降のお子さんには、乳製品の量を調整しながら様子を見る
一時的な乳糖不耐症の場合、多くは腸の粘膜が回復することで自然と改善していきます。無理に乳製品を避け続ける必要はありませんが、お子さんの便の状態や全身状態を見ながら、医師の指導のもとで進めていくことが大切です。
乳児期のミルクと乳糖不耐症
乳児期には、ミルクが栄養のほぼすべてを占めるため、乳糖不耐症に対して特に注意が必要です。
対応例
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下痢が続く場合は、乳糖を含まない「ノンラクトミルク」や「低乳糖ミルク」に切り替えることがあります。
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母乳栄養の場合は、完全に中止する必要はないことがほとんどです(母乳には消化を助ける成分が含まれているため)。
ただし、自己判断でミルクを変更したり、母乳を控えることは避けてください。栄養のバランスや体重の変化を見ながら、医師の指導のもとで対応していきましょう。
よくある質問
Q1. 乳糖不耐症は治るのでしょうか?
A1. 二次性乳糖不耐症の場合は、多くが腸の粘膜が回復すれば自然に治ります。一次性は体質ですが、乳製品の取り方を工夫すれば問題ありません。
Q2. 乳製品は一切ダメですか?
A2. 一部の乳製品(ヨーグルトやチーズなど)は乳糖が少なく、食べられる場合もあります。症状を見ながら調整します。
Q3. アレルギーと違うのですか?
A3. はい、乳糖不耐症はアレルギー(牛乳アレルギー)とは異なり、消化酵素の問題です。命に関わるようなアナフィラキシーなどは起きません。
Q4. 下痢が長引いています。乳糖不耐症でしょうか?
A4. 特にウイルス性胃腸炎のあとに下痢が続く場合、乳糖不耐症の可能性があります。医師の診察を受けることをおすすめします。
院長より
乳糖不耐症という言葉を聞くと、「一生乳製品が食べられないのでは」と不安に思われる保護者の方も多いかと思います。ですが、多くのお子さんは一時的なものですし、成長とともに改善するケースも少なくありません。
内田こどもクリニックでは、下痢や腹痛が続くお子さんに対して、原因を見極めながら、ミルクや離乳食の調整についても丁寧にアドバイスしています。お子さんの状態に合わせた対応を一緒に考えていきましょう。
