過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(IBS=Irritable Bowel Syndrome)とは、腸に炎症や潰瘍などの異常がないにもかかわらず、腹痛やおなかの張り、便秘や下痢などの症状を繰り返す状態のことを指します。ストレスや緊張、生活習慣の影響で発症することが多く、学童期から中高生にかけての子どもにも増えている疾患です。
「学校に行こうとするとお腹が痛くなる」「テスト前や登校時にお腹がゴロゴロする」「トイレに行くと楽になる」…そんな症状が続いている場合、IBSの可能性が考えられます。
当院では、小児期におけるIBSの特徴を踏まえた診察と、やさしい声かけを心がけながら、身体と心の両面から丁寧にケアを行っています。
過敏性腸症候群の原因
IBSの明確な原因はまだはっきりとは解明されていませんが、自律神経や腸の働き、ストレス、食生活などが複雑に関係していると考えられています。
考えられる主な要因
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精神的なストレス(学校・家庭・人間関係)
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睡眠不足や不規則な生活
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緊張や不安
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食生活(脂っこいもの・冷たい飲み物・過度な糖分など)
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腸の運動異常(蠕動運動の乱れ)
とくに子どもの場合、周囲の環境の変化やプレッシャーなど心の影響が症状に現れやすい傾向があります。
過敏性腸症候群の症状
IBSの症状は、「下痢型」「便秘型」「混合型」「分類不能型」の4タイプに分けられます。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 下痢型 | 急な腹痛とともに水様便が出る。特に朝や緊張時に多い。 |
| 便秘型 | お腹が張って便が出ない。残便感がある。 |
| 混合型 | 下痢と便秘を交互に繰り返す。 |
| 分類不能型 | 明確なパターンはなく、様々な症状が入り混じる。 |
共通するのは、腹痛や腹部の違和感が排便によって和らぐことが多い点です。お子さんの場合、痛みをうまく言葉にできず、「お腹がなんとなく痛い」と訴えることもあります。
小児の過敏性腸症候群の特徴
子どものIBSでは、以下のような傾向がみられます。
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登校前に症状が出やすい
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学校では緊張して我慢し、帰宅後にトイレにこもる
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痛みの場所や程度が日によって異なる
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検査をしても異常が見つからない
保護者の方から「仮病では?」と心配されることもありますが、お子さん自身も困っていることが多く、心のケアも重要です。
診断と当院での対応
過敏性腸症候群は、問診が診断の鍵となります。血液検査や便検査、超音波などで重大な疾患が否定された上で、症状のパターンをしっかり把握することが大切です。
内田こどもクリニックでの対応
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丁寧な問診とお子さん・ご家族のお話を重視
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必要に応じた血液検査・便培養・腹部エコーなどを実施
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薬だけに頼らず、生活習慣の改善と心理的サポートを重視
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中高生への説明も本人の言葉でわかりやすく説明
IBSは「気のせい」ではなく、治療が必要な病気です。身体と心、両方のバランスを整えることが治療の基本です。
過敏性腸症候群の治療法
症状のタイプや原因に応じて、複数のアプローチを組み合わせて治療します。
1. 生活習慣の改善
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規則正しい生活リズム(睡眠・食事・排便)
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腹部を温める、ゆっくり食べる
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スマートフォンやゲームの時間を見直す
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学校生活や習い事のバランスを調整
2. 食事の見直し
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お腹にやさしい食事(消化のよいもの・刺激の少ないもの)
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食物繊維の調整(とりすぎに注意)
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炭酸飲料・冷たい飲み物・脂っこい食事を控える
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FODMAP(発酵性の糖質)制限が効果的なケースも
3. 薬物療法(必要に応じて)
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整腸剤(乳酸菌など)
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痙攣を抑える薬(お腹の緊張をやわらげる)
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下痢止めや便秘薬(対症的に使用)
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不安が強い場合には軽い抗不安薬を使うことも(中学生以上)
よくある質問
Q1. どのくらいで治りますか?
A1. 個人差がありますが、生活習慣の見直しと継続的なサポートで、数ヶ月以内に症状が改善するケースも多いです。
Q2. 学校に行くのが不安なようです。
A2. 心身の不調が登校困難につながることもあるため、早めにご相談ください。必要に応じて学校との連携も行います。
Q3. 薬をずっと飲まなければいけませんか?
A3. 症状が落ち着いてくれば減量・中止も可能です。あくまで生活改善が基本となります。
Q4. ストレスが原因といわれましたが、どうすればいいですか?
A4. ご家庭や学校でのサポート、カウンセリング的な対応も有効です。「しんどさを受け止めてもらえるだけで、症状がやわらぐ」こともあります。
院長より
お腹の不調が続くと、お子さんの学校生活やご家庭での過ごし方にも大きな影響が出てきます。
過敏性腸症候群は目に見える病気ではないだけに、まわりの理解が得られにくく、つらい思いをしているお子さんも多いのが実情です。
内田こどもクリニックでは、お腹の症状を単なる便秘やストレスのせいにせず、ていねいにお話を聞き、症状の背景にある心と体のバランスを大切に診療しています。
「なんとなく元気がない」「毎朝お腹が痛い」といったときには、遠慮なくご相談ください。
私たちは、お子さんの小さな不調も見逃さず、安心して過ごせる日常を取り戻すお手伝いをしていきます。
