停留精巣
停留精巣とは、男の子の精巣(睾丸)が本来あるべき陰嚢(いんのう=ふくろ)の中に降りておらず、腹部や足の付け根(鼠径部)にとどまっている状態のことを言います。通常、精巣は胎児の時期にお腹の中から陰嚢まで降りてくるものですが、この移行がうまくいかない場合に起こります。
多くの場合は新生児期に診断されることが多く、約100人に2〜3人の割合でみられる比較的よくある先天的な状態です。中には、成長とともに自然に降りてくるケースもありますが、1歳を過ぎても陰嚢に精巣が確認できない場合は治療が必要になることがあります。
当院では、乳幼児健診や日常の診察の際にも精巣の位置を確認し、必要な場合は小児外科や泌尿器科と連携して対応しております。
停留精巣の原因
停留精巣の原因ははっきりとわかっていませんが、胎児の発育過程で精巣が陰嚢までうまく移動できなかったことが背景にあります。
精巣が停留する主な理由
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精巣を導く靭帯やホルモンの働きの異常
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お腹の中での成長や胎位の問題
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早産児に多く見られる傾向(未熟児の約30%に停留精巣がみられるとも)
また、成長とともに一時的に精巣が陰嚢にあったりなかったりする**移動性精巣(いどうせいせいそう)**という状態もあり、これは治療の対象ではないこともあります。
停留精巣の症状と気づき方
停留精巣そのものに痛みや違和感はほとんどありません。そのため、親御さんが気づきにくいことも多いのが特徴です。
こんなときは注意
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おむつ替えの時に「ふくろがぺたんこ」「左右でふくろの大きさが違う」
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入浴時に「ふくろの中が空っぽのように見える」
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乳幼児健診などで「精巣が確認できない」と言われた
精巣が陰嚢にないことが一時的なものか、常に停留しているかを判断するには、医師による診察が必要です。
停留精巣の診断と検査
当院では、乳幼児健診の際に陰嚢の視診・触診を行い、精巣の有無・位置・大きさなどを丁寧に確認しています。
必要に応じて行う検査
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超音波(エコー)検査:精巣の位置を確認するため
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血液検査やホルモン検査(まれに必要な場合)
触診ではわからない場合、小児外科や泌尿器科での精密検査や診断をお願いすることもあります。
治療が必要な場合とその内容
生後6ヶ月〜1歳未満で自然に降りてくることもありますが、1歳を過ぎても精巣が陰嚢内に確認できない場合は手術が必要となることがあります。
治療のタイミング
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基本的に1歳〜1歳半頃までに治療開始を検討
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年齢が上がるほど、精巣の発育や機能への影響が大きくなる可能性があります
治療法:精巣固定術
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停留している精巣を手術で陰嚢に固定する方法
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通常は日帰りまたは短期入院で対応可能な手術
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小児外科または小児泌尿器科の専門医で行われます
治療しないとどうなるの?
停留精巣をそのままにしておくと、以下のようなリスクがあります。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 精巣の機能低下 | 精巣は低温環境で機能するため、腹部では温度が高すぎて精子を作る力が弱まる可能性 |
| 将来的な不妊のリスク | 両側性の停留精巣では特に注意が必要 |
| 精巣がんの発生リスクの増加 | 精巣が陰嚢内にないとがんのリスクが高まると言われています |
| 精巣捻転のリスク | 異常な位置にある精巣はねじれを起こしやすく、緊急手術が必要になる場合もあります |
よくある質問
Q1. 自然に治ることはありますか?
A1. はい、生後半年〜1歳頃までに自然に陰嚢に降りてくることがあります。ただし、1歳を過ぎても確認できない場合は手術が必要になることが多いです。
Q2. 見た目が気になるだけですか?
A2. 見た目だけでなく、精巣の機能(将来的な妊娠・出産の可能性)や健康リスクにも関わるため、医学的な評価が必要です。
Q3. 手術は安全ですか?
A3. 小児外科でよく行われている比較的安全性の高い手術ですが、麻酔を伴いますので、専門医とよく相談していただきます。
Q4. どの科で診てもらえますか?
A4. 当院では初期診察を行い、必要に応じて小児外科や泌尿器科の専門医をご紹介しています。
院長より
お子さんの精巣が「ふくろにないかも?」と気づくのは、ご家族の日々の観察によることが多いです。見逃しがちですが、将来の健康や機能にかかわる大切なことなので、1歳を過ぎても確認できない場合は、一度ご相談いただくのがおすすめです。
私たち内田こどもクリニックでは、乳児健診の際にも丁寧に確認し、必要に応じて専門医療機関と連携しながら、お子さんの成長に寄り添ったサポートを行っています。
