耳瘻孔(じろうこう)
耳瘻孔(じろうこう)とは、耳の前(耳のつけ根の近く)に小さな穴のようなくぼみが生まれつきある状態のことをいいます。医学的には「先天性耳瘻孔」と呼ばれ、胎児のころの耳の発達の過程でできる、皮膚や皮膚の付属器官の残りが原因とされています。
ほとんどの場合は特に問題のない自然な変化として経過を見守ることができますが、ときに化膿したり、炎症を起こして腫れることもあります。
当院では、耳の前のくぼみや膿が出るといった症状のご相談を多くいただいており、耳瘻孔の診察や必要に応じた治療のご案内を行っています。
耳瘻孔の原因とでき方
耳瘻孔は先天的な皮膚の構造異常であり、妊娠初期に耳が形作られる過程で皮膚の癒合が不完全になることによって生じるものと考えられています。日本ではおよそ100人に1人程度の割合でみられる比較的よくある先天異常のひとつです。
男女差はなく、遺伝的な要素もあるため、家族に耳瘻孔を持つ人がいるケースもあります。
耳瘻孔の症状
通常、耳瘻孔は症状がなければ治療の必要はありません。しかし、以下のような症状が出た場合は医療機関での対応が必要です。
よくある症状
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耳の前に小さな穴やくぼみがある(生後すぐに見つかることが多い)
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穴から白や黄色っぽい分泌物が出る
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周囲が赤く腫れる、痛がる
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繰り返し炎症を起こす(化膿や膿瘍形成)
特に膿がたまって腫れる場合(感染性耳瘻孔)には、処置や抗生剤治療が必要になることがあります。
耳瘻孔の経過と注意点
耳瘻孔はほとんどが無症状で一生を過ごせる場合が多く、定期的なケアや処置が不要なこともあります。
ただし、一度感染を起こすと再発しやすくなる傾向があります。以下のような経過になることがあります。
| 経過 | 対応 |
|---|---|
| 無症状(発見のみ) | 経過観察 |
| 分泌物がある | 洗浄や抗菌薬の処方 |
| 炎症・腫れ | 抗菌薬の内服、膿の排出 |
| 繰り返す炎症 | 手術(瘻孔の切除)を検討 |
耳瘻孔の治療と処置について
症状がある場合は、以下のような治療を行います。
感染がある場合
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抗生物質の内服や軟膏の使用
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腫れが強い場合は、切開して膿を出す処置
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冷やす・清潔に保つ
繰り返し感染する場合
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耳鼻科専門医への紹介
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完治を目指して瘻孔の完全切除手術が行われることもあります
なお、炎症を起こしていない時期に手術することで、再発を防ぎやすくなるとされています。
当院では、小児の耳瘻孔の初期対応や必要に応じて専門機関への紹介も行っております。
ご家庭でのケアと注意点
耳瘻孔があることに気づいたら、以下のポイントに注意しながら観察してください。
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むやみに押さない・触らない
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穴から分泌物が出ていても、無理に取り除かない
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赤くなってきたら早めに受診を
また、毎回同じ耳が腫れる・分泌物が臭う・お子さんが痛がるといった場合には、感染のサインかもしれませんので受診をおすすめします。
よくある質問
Q1. 耳瘻孔は自然にふさがりますか?
A1. 基本的には自然にふさがることはありません。ただし、無症状であればそのままでも問題ありません。
Q2. 耳瘻孔があると病気になりやすいのですか?
A2. 無症状であれば健康への影響はありません。ただし、感染を起こすと腫れや痛みが出るため注意が必要です。
Q3. 赤ちゃんに見つかったけれど、どうしたらいいですか?
A3. 症状がなければ経過観察で大丈夫です。気になる点があれば当院で確認いたします。
Q4. 手術は必要ですか?
A4. 何度も感染を繰り返す場合には、耳鼻科での手術を検討することがあります。1回の炎症だけで手術になることはほとんどありません。
院長より
小さなお子さんに「耳の近くに小さな穴がある」と気づいて、驚かれる保護者の方は少なくありません。
耳瘻孔は先天的なもので、多くは無症状で経過する自然な状態のひとつです。
ただし、感染を起こすと腫れて痛くなり、繰り返すこともあります。当院では、耳瘻孔の初期対応から、必要に応じて信頼できる耳鼻科専門医との連携まで行っております。
気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。安心して経過を見守れるようサポートいたします。
